はじめに

ChatGPTの概要

ChatGPTは、OpenAIという組織が開発した大規模なテキスト生成AI（人工知能）であり、LLM（Large Language Model）の一種です。このモデルは、インターネット上の膨大なテキストデータから学習しています。その目的は、人間のような自然な言語での会話を可能にすることです。

基本原理

1. 事前学習

1. データセットの選定：ChatGPTのトレーニングには、インターネットから収集された広範囲のテキストデータが使用されます。これにはニュース記事、書籍、ウェブページ、会話記録などが含まれます。
2. トークン化：テキストデータはトークン（単語や文字のような小さな要素）に分割されます。このトークン化は、モデルがテキストのパターンを学習しやすくするために行われます。
3. 自己注意機構の使用：トランスフォーマーは自己注意機構を用いて、どのトークンが互いに関連しているかを学習します。これにより、文脈に基づいた言語理解が可能になります。
4. パターンの学習：モデルは大量のテキストから言語のパターンを学習します。これには、文法、文脈、意味、対話の流れなどが含まれます。

2. 微調整

1. 対話特化のトレーニング：事前学習したモデルは、さらに対話生成に特化して微調整されます。これには、質問応答、会話データなど、対話形式のテキストが使用されます。
2. 対話の流れの理解：微調整を通じて、モデルは対話の流れや文脈をより深く理解し、応答の連続性や適切性を高めます。

3. 応答生成

1. 入力の受け取り：ユーザーからの入力（質問やコメント）を受け取ります。
2. 文脈の分析：モデルは、現在の入力だけでなく、過去の会話の文脈も考慮します。
3. 応答の生成：モデルは、学習した言語パターンと文脈情報を基にして、適切な応答を生成します。この過程では、確率モデルが使用され、複数の可能な応答から最も適切と思われるものが選ばれます。
4. 応答の評価と調整：生成された応答は、内部的な基準（文脈の適合性、一貫性、情報の正確性など）に基づいて評価され、必要に応じて調整されます。

4. 継続的な学習

• ユーザーフィードバック：ユーザーの反応やフィードバックを通じて、モデルはさらに学習し、応答の品質を改善します。
• 追加トレーニング：新しいデータや情報が利用可能になると、ChatGPTはそれを学習し、知識ベースを更新します。

これらのプロセスを通じて、ChatGPTは自然言語を理解し、対話において自然で、文脈に適合した、情報的な応答を生成する能力を持っています。

詳しい仕組みについて参考になる記事

ChatGPT の仕組みを理解する（前編） - ABEJA Tech Blog

こんにちは！株式会社 ABEJA で ABEJA Platform 開発を行っている坂井（@Yagami360）です。世間では ChatGPT などの大規模言語モデル（LLM）による対話型 AI が盛り上がってますね。クオリティーも凄いし AI 業界以外でも盛り上がってると嬉しいですよね。この数年で一段と AI の社会…

tech-blog.abeja.asia

ChatGPT の仕組みを理解する（後編） - ABEJA Tech Blog

こちらは「ChatGPT の仕組みを理解する」の後編記事になります。 前編は以下の記事をご参照ください。 tech-blog.abeja.asia 前半記事では、自然言語の基礎的な部分から GPT-3.5 まで説明していきました。GPT-3.5 の次としては、ChatGPT の元になっている InstructGPT を…

tech-blog.abeja.asia

得意なこと:

1. テキスト生成と対話: ChatGPTは自然言語処理（NLP）において高い能力を持ち、ユーザーの質問に対して自然で流暢な回答を生成することができます。これは、大量のテキストデータから学習した結果です。
2. 多様なトピックに対応: ChatGPTは、ニュース、科学、テクノロジー、文学など、さまざまなトピックに関する知識を有しています。この幅広い知識により、多岐にわたる質問に答えることができます。
3. 言語翻訳と要約: ChatGPTは、異なる言語間での翻訳や、長いテキストの要約を行う能力を持っています。

不得意なこと:

1. 最新情報の提供: ChatGPTは、トレーニング時点までのデータに基づいているため、最新のニュースやトレンドについては情報が古い場合があります。有料プランに加入すればWeb上の最新情報を元に回答を生成することも可能です。
2. 感情の理解と表現: 感情を持たないため、人間の感情を完全に理解したり、感情的な対応をすることは困難です。
3. 個人化された経験の提供: 個々のユーザーの過去の経験や好みに基づいてカスタマイズされた回答を提供することは難しいです。
4. 複雑な推論や創造的思考: 高度な推論や創造的思考、オリジナルなアイデアの生成は得意としていません。

活用例

1. カスタマーサポートの自動化: ChatGPTは顧客からの問い合わせに対して自動で回答を生成することができます。これにより、顧客サービスの効率が向上し、人的リソースの削減にもつながります。
2. コーディングアシスタント: システムエンジニアとしての業務において、ChatGPTはプログラミングコードの例を提供したり、バグの修正方法を提案したりすることが可能です。これは開発プロセスの効率化に寄与します。
3. ドキュメント作成と校正: ChatGPTは、報告書やメールのドラフト作成、校正にも使用できます。これにより、文書作成にかかる時間を短縮し、より重要なタスクに集中できるようになります。
4. 教育とトレーニング: 製品やサービスに関するトレーニング資料の作成、FAQの生成、新しい従業員のオンボーディングなど、教育関連の用途にもChatGPTは利用可能です。
5. 言語翻訳とローカライゼーション: ChatGPTは複数の言語に対応しており、文書やウェブサイトの翻訳、ローカライゼーション作業の支援ができます。
6. クリエイティブなコンテンツ生成: マーケティング資料、ブログ記事、ソーシャルメディア用の投稿など、クリエイティブなコンテンツの生成にもChatGPTは活用できます。