Instruction Tuning(指示調整)は、機械学習モデル、特に自然言語処理(NLP)モデルにおいて、特定のタスクや指示に基づいてモデルの挙動を最適化するプロセスです。このプロセスでは、モデルに与えられる指示やデータセットに特化した調整が行われます。これにより、モデルは特定のタイプのクエリやタスクに対してより正確かつ効果的に応答できるようになります。
インストラクションチューニングとは
学習済みのLLMをインストラクションとして表現されたタスクの集合に対して微調整する、最先端のファインチューニング手法です。学習済みLLMが指示に対してより 適切に反応するようになり、プロンプトの段階で例文を必要としなくなります(つまり、zero-shot性能が飛躍的に向上します)。
インストラクションチューニングは、汎化能力を損なうことなくモデルの性能を大幅に向上させる技術であるため、2022年に大きな人気を博しました。通常、学習済みLLMは言語タスクのセットでチューニングされ、チューニング時に未知の言語タスクのセットを実行する能力で評価され、その汎化能力とzero-shot能力が証明されます。
たとえば、あるモデルが自然言語を理解し、応答する能力を持っているとします。Instruction Tuningを行うことで、そのモデルを特定のドメイン(例えば医療、法律、技術など)や特定のタイプのタスク(例えば要約、翻訳、質問応答など)に特化させることができます。これは、モデルに関連する指示やデータを用いて追加のトレーニングを行うことで実現されます。

インストラクション・チューニングを実施する上での注意点
インストラクションチューニングは、モデル全体のパラメーターをチューニングするもので、パラメーター効率の良いファインチューニングではパラメーターの一部を固定するのに対し、インストラクションチューニングでは、モデル全体のパラメーターをチューニングします。そのため、パラメータ効率の良い微調整のようなコストメリットはありません。
しかし、パラメータ効率の良い微調整に比べ、インストラクションチューニングはより汎用性の高いモデルを生成するため、インストラクションチューニングしたモデルは、複数の下流タスクに対応する汎用モデルとして機能することができます。そのためには、インストラクションチューニングを行うためのデータセットとトレーニングの予算があるかどうかが重要です。
インストラクションチューニングは、指示として自然に言語化されるタスク(例:NLI、QA、翻訳)には普遍的に有効ですが、推論のようなタスクには少し厄介です。このようなタスクで改善するためには、チューニングの際に思考の連鎖の例を含めるとよいでしょう。